有罪モラトリアム

Sは目を大きく見開いて、しばらく止まっていました。

すると、急にSの目から涙がボタボタと零れ落ちました。

なんであなたが泣くの・・・。

S「そんなことしたら・・・今度は私がいじめられるじゃない・・・。」

私「自業自得でしょ?」


ひっく、ひっくとSはすすり泣き始めました。

私もSと似ているところがある。

自分のコンプレックス。他人が自分にはないものを持っていると、羨ましくてたまらない。

SはT君が好きだった。
T君を手に入れた私が許せない。

Sは成績は並の下。
人前に出ると顔が真っ赤になってしまう。
頭が良くて、堂々と人前でスピーチをするAが憎い。

でも憎んだからってそれが手に入るのかな?
相手を貶めたら、自分の格が上がるのかな?

人を中傷して、誹謗して、
傷つけて傷つけて、それで幸せを得ることができるの?

自分のしていること、恥ずかしいとは思わないの?
罪の意識は全くないの?

もし本当に心の底から人を傷つけることが愉しいと感じているならば、
私はあなたを軽蔑します。

そうじゃないよね?
あなたは何がしたいの?

私は人を傷つけたいなんて思わない。
人を傷つけたら、自分も傷つく。
自分が逆に貶められていく。
これは誰でも同じことなんだって思ってる。
そんなことしたって、自分の心が汚れていくだけだ。

あなたは1人だと、こうやって泣くことしかできない。
みんなと一緒じゃないと何もできない。
真っ向から正論に立ち向かうことはできない。
影でコソコソ。裏でヒソヒソ。
本当は自分が間違っているって知っているから隠れるんでしょ。
1人になるのが怖いから泣くのかな。
弱くて可哀想な人。

自分の存在や考えを否定されるのがそんなに怖い?
じゃあわかるはず。
あなたがどれだけ私とAを傷つけてきたのか。


ねぇ、S・・・。
もうやめようよ。もう終わりにしよう。
あなたも向き合ってみて・・・。自分自身と。

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