有罪モラトリアム
私「もうやめよう?
こんなの続けたって無意味なんだよ。
Aの人生台無しにして、あなたは笑っていられるの?」
Sはずっと泣き続けました。
泣いて、泣いて、泣き崩れました。
泣くということは、きっと彼女の心の内にも自分を責める気持ちがあったはずだと思います。
私もずっと気づかないフリをしていましたが、ずっと責任を感じていました。
それは自分で思っているより、すごく重い重圧でした。
私が誰かを不幸にした。
その事実は、いつまでも心のしこりとして残り続けるでしょう。
罪悪感は5年経った今でも消える事はありません。
30分くらいずっと、Sは泣いたまま何も喋ってくれませんでした。
私はSが答えを出すのを、じっと待っていました。
「ごめんなさい・・・・・。」
消えそうなか細い声で、Sはそう呟きました。
そしてまた泣き続けました。
私も泣いていました。
なんで涙が出るのかわからなかったけども。
2人でわんわん泣いて、どのくらいの間そうしていたのかわかりません。
ぐしゃぐしゃになった顔で、私はSに言いました。
私「いっしょにAに謝りにいこう。」
Sは黙って立ち上がって、私にティッシュを差し出しました。
2人で鼻をかんで、赤鼻のまま外に出ます。
2人でAの家へ向かいました。
雪の降る中を、2人でトボトボと歩きました。
一緒に背中に罪悪感を背負って。