有罪モラトリアム
そうして、Aの家に辿り着いた。
私はいつものように裏口に回って、勝手口から
「ユキですー。お邪魔します~~~。」
と、家にあがっていった。
居間の方から「いらっしゃい~。あがってって~。」
と、Aのお母さんの声が聞こえた。
Sは小さな声で「お邪魔します。」とポツリといって私の後をついてきた。
Aの部屋は3階にあった。
階段を上って、ドアをコンコンと叩く。
私「A?急に来ちゃってごめんね。入っていい??」
A「ユキー?いいよー。どしたの、急に。」
ドアを開けて中に入る。
相変わらず小奇麗で可愛らしい部屋だ。Aらしい。
どうやら雑誌を読んでたみたいだ。
Aは私の後ろにいるSの姿をみて、目をまんまるにさせていた。
Sが私の姿を見た時と同じ顔だった。
A「なんで・・・・。」
私「さっき、Sの家に行ったの。
嫌がらせをこれ以上させないために、話しにいったの。
一緒に謝りにいこうっていったら、ついて来てくれた。」
A「!!!」
驚くのも無理はないだろう。
Aは暫く固まっていた。
そしてずっと黙り込んでいたSがとうとう口を開いた。
S「・・・ごめん・・・なさい・・・・。」
Sは震えていた。
そしてまた泣き始めていた。