有罪モラトリアム

そうして、Aの家に辿り着いた。
私はいつものように裏口に回って、勝手口から

「ユキですー。お邪魔します~~~。」

と、家にあがっていった。

居間の方から「いらっしゃい~。あがってって~。」

と、Aのお母さんの声が聞こえた。

Sは小さな声で「お邪魔します。」とポツリといって私の後をついてきた。

Aの部屋は3階にあった。
階段を上って、ドアをコンコンと叩く。

私「A?急に来ちゃってごめんね。入っていい??」

A「ユキー?いいよー。どしたの、急に。」

ドアを開けて中に入る。
相変わらず小奇麗で可愛らしい部屋だ。Aらしい。
どうやら雑誌を読んでたみたいだ。

Aは私の後ろにいるSの姿をみて、目をまんまるにさせていた。
Sが私の姿を見た時と同じ顔だった。

A「なんで・・・・。」

私「さっき、Sの家に行ったの。
  嫌がらせをこれ以上させないために、話しにいったの。
  一緒に謝りにいこうっていったら、ついて来てくれた。」

A「!!!」

驚くのも無理はないだろう。
Aは暫く固まっていた。

そしてずっと黙り込んでいたSがとうとう口を開いた。



S「・・・ごめん・・・なさい・・・・。」


Sは震えていた。
そしてまた泣き始めていた。
< 113 / 287 >

この作品をシェア

pagetop