有罪モラトリアム
A「謝るってことは、もうしないってことだよね?」
S「うん・・・ごめなさ・・・ヒック。」
A「今までの事、全部嘘だったってみんなに話してくれるわけ?」
Sは黙り込んだ。
じっと床をみつめながら泣いている。
まだ自分の非を認めて、それを暴露するには決心が足りないのかな。
私「もしSがそうするなら、Aは学校に来てくれる?」
A「もちろん。私だって本当は通いたいんだから。勉強だって遅れてるもん。」
私「って言ってるけど、S、どうするの。あなたが決めることでしょ。」
A「悪いと思ってるなら、ちゃんと本当の事をみんなに話して欲しい。」
かつてのキラキラとした瞳が、Aに戻りつつあった。
どんよりと曇っていた彼女はもうどこにもいない。
私の好きな彼女の姿は、完璧には失われていなかったんだ。
彼女なら大丈夫、きっと立ち直れる。
元々強い人なんだから。
そう確信した。
S「・・・・わかった。」
とうとう、約束してくれた。
認めてくれた。
嬉しくて嬉しくて、思わずAと顔を見合わせる。
Aは鼻を赤くして泣いていた。
でも泣きながらも、そこにあったのは、笑顔だった。
取り戻せたんだ!
彼女の、笑顔を。
やった。。。やった。。。!
やっと自分の力で人の役に立てた。
私も泣きながら笑っていた。
心から笑えた。
久々のことだった。