有罪モラトリアム
Sとの対決を終えたその後、
涙が落ち着いた頃に、
Sは私とAの目の前で、ケータイで同じグループにいた女の子の1人に真実を告げてくれた。
自分から話すと言ってくれた。
AはSにこう言った。
「わかってくれたんだね。」
他の人達の反応はまだわからないけども、
確実に何かが変わろうとしていた。
いい方向に。
Sは電話を終えると、「帰るね。」と言って、
背中を丸めながら部屋から出て行った。
A「Sに何て言って納得させたの??」
私「ずっと集めてたの。いじめの証拠を。
それを黒板に貼りだしてビラにして配るって言っただけ。」
A「なるほどね~・・・。しかしまぁ、よくがんばったね。」
Aはニコニコしながら私の頭をグシャグシャっと撫でてくれた。
私「がんばって本当に良かった!」
A「ありがとう、ユキ。」
私はAにお礼を言われることなんてしてないよ。
元のAの学校生活を取り戻しただけ。
でもそんなこと口に出しては言わなかった。
笑顔で返事をした。
Aが許してくれても、私が彼女をいじめに巻き込んだ事は変わらない事実だ。
そのことは忘れちゃいけないことだと思うから。
そして私はもう1つ、彼女に話したい事があった。