有罪モラトリアム
ぁ、なんかデジャヴが・・・。
そういえば初めて会ったときもこうやって改札の外で、私の事を待っていてくれた。
たくさんの知らない顔の中から、私の事を見つけ出してくれた。
あのときの私は、初めて会う緊張で余裕がなかったけど・・・。
彼はあの時も、私の事を想って待っていてくれたのだろうなぁ。

私「カナタさん!」

彼「ユキさん、こっち。」

なんだろう、この気持ち。
単純に嬉しいとか、楽しいとか、そういう気持ちも含んだ、
すごく安心するような、そんな喜び。

彼「行きましょうか。」

私「はいっ。」

一緒に大学までの道を歩きます。
ここって彼の通学路なのかな?

私「毎日ここを通っているんですか?」

彼「いえ、大学から近い場所にアパートを借りているので・・・
  いつもは東門の方から通っています。」

東門?
門っていくつもあるものなの??

と、不思議に思っていると、
目の前に段々大きな建物の郡が見えてきました。

な、なにこれ・・・?!!
大学ってこんなにでっかいものなの?!

私「うわぁ・・・。広いですね・・・!」

彼「迷子にならないでくださいねw」

私「は、はい・・・w」

学校って・・・建物数棟で構成されてるものしか見た事がありませんでした。
小学校、中学校、高校、どれも街中にあって、
彼の大学みたいに、少し街からは離れた場所にドーンと大きく建っているものを初めて見ました。
一体・・・これは何棟あるんでしょうか?
正門をくぐると、広いバスターミナルがありました。
大きな噴水や池が目に入りました。
ボ、ボートが浮いてるよ?!
うわーグラウンドもめっちゃ広い・・・。
す、すごい・・・。

かるちゃーしょっく・・・。とは違うけど、
自分の知らなかった世界がソコに・・・って感じでした。

私がキョロキョロしまくっていると、

彼「ユキさんは、大学に来るのって初めてですか?」

と、どうやら私の心情を察した様子です。

私「初めてですー・・・。
  夏になったらAとオープンキャンパスに行こうかとは思ってたんですけど・・・。」

彼「そうでしたか。僕も最初ココに来たときはビックリしましたよw」
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