有罪モラトリアム
そこでふと疑問に思ったことが。
彼はどこの店舗の担当なんだろう・・・?

話の邪魔にならないように隙を狙って彼に聞いてみると、

彼「僕は、ちょっといろいろな場所を回ることになってるので特に担当はありません。
  舞台の方も手伝うことになってます。」

と、答えが返ってきました。

どうやら会場の舞台で行われる楽器演奏も彼は手伝うみたいです。
話を聞いていると、どうやらサンバをやるらしく、彼は打楽器を演奏すると言っていました。
ちょっと楽しみ・・・!
サンバってどんな音楽だっけ・・・?

昼食を食べ終え、また部室へみんなで戻りました。
部室にはいつのまにかまた部員が増えていました。
お昼からは楽器演奏の練習が行われる予定みたいでした。

彼もスルドと呼ばれる木製の打楽器で練習をしていました。
バチと手を器用に使って、パーカッションの人たちと一緒に練習をしています。
カナタさんてば、リズム感いいなぁ♪
あぁ、私もピアノ弾きたくなってきちゃった。


サンバはブラジルのダンス音楽で、4分の2拍子の軽快な明るい曲が多いです。
曲は主にパーカッション、つまり打楽器で構成されています。
曲の中にはリズムに合わせて歌を歌う場合もあるみたいです。
彼は、部活の中でも演奏部とか、お祭り担当の部、衣装担当の部、政治経済の部、などいくつか役割が分かれていることを説明してくれました。
中でもこうやって実際に演奏をする人たちのグループを
"マランドロ"(愉快な奴らという意)
と呼んでいるらしく、彼もマランドロの一員でした。


私は特にすることもなくなってしまって、
ただぼーっと彼の隣にいて時たましゃべりかけるか、
椅子に座ってみんなの様子をみているくらいでした。

演奏練習はずっと続いていました。
イベントまでの日にちがせまっているということもあって、彼は真剣に練習をしていました。
あんまり喋りかけると邪魔になってしまうかもしれません。
私は離れたところでしばらくずっとみんなの様子をみていました。
< 143 / 287 >

この作品をシェア

pagetop