有罪モラトリアム

たとえゲームの中でも・・・

私が泣きやむと、彼は私を家まで送ってくれました。

「それじゃあ、また。」

近づけば、近づくほど、

本気になれば、本気になるほど、

一緒にいたいという気持ちが強まっていくのがわかります。

離れた後は「次会えるのはいつだろう?」と考えるのが当たり前になっていました。

イベントまで後一週間と数日。
それまでまた彼に会う事ができません。
もう数日もしたら、新学期が始まってしまいます。
イベントは休日なのでもちろん参加はできますが、
学校が始まるということは即ち、ゲームにログインできる時間が減るということと同義でした。
彼に会える時間が減る。
当時の私にとっては、それはとても悲しいことでした。
でも彼も言っていたように今年は受験生です。
勉強からも目を逸らすわけにはいきませんでした。

ここで少し、話をゲームの中へ戻します。

ゲームでは年明けを迎えていました。
1月の年明け、ゲーム内でおみくじが引けるイベントがやっていました。
私はカナタさんと一緒に籤を引いてみたいな、と思って、
年明けから少し忙しくなりログインの減った彼が、ゲームに遊びに来るのを待っていました。

彼は忙しいながらも、時々ログインはしているみたいでした。
この頃の彼はゲームの中で、裁縫をして防具を作ることに凝っていました。
糸や布、彼の使えそうな物はこっそり彼のポストへ入れていました。
私はゲームの中で調理をして、彼に食事をよくプレゼントしていました。

いくらゲームの中のこととはいえ、プレゼントすることも、プレゼントされることも、現実と同様に嬉しいことでした。

料理のお返しに、彼がプレゼントしてくれた物があります。
いつもらったのか、正確な日付などはハッキリと覚えていないのですが、彼が私に赤い帽子をプレゼントしてくれたことがあります。

彼「ユキさんなら装備できるし、良かったら使ってください。」

と、貴重な装備を私にプレゼントしてくれました。

私は嬉しくて、いつもその赤い帽子をかぶっていました。

すると、そのことに気づいた彼が、帽子によく似合う服もプレゼントしてくれました。

この頃の写真をみるとよくわかります。
イベント、街での雑談時、家の中、いつもその格好をしていました。
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