有罪モラトリアム
私達の姿をみて、Sは泣きながら言いました。
「おはよう。」
びっくりしてしまいました。
そしてメンバーの人たちが次々と私とSに言いました。
「今までごめんなさい。」
「ごめんね。知らなかったの。」
「ごめんなさい・・・。」
「Sから話を聞いたよ。本当にごめんね。」
あまりの態度の豹変ぶりに、ただただ驚くことしかできません。
私とAは無言のまま、その場に立ちつくし、目を丸くさせて、
Sとメンバーをじっとみつめていました。
私「もう何もしない?」
やっと口を開くことができました。
S「しないよ。みんなもしないって。」
メンバー「Sは他のクラスの子にも本当のことを言ったよ。」
私はAの方を見て、「良かった。」と呟きました。
Aは呆然としていて、「うん。」とだけ答えました。
そうしているうちにチャイムが鳴って、Aと私はそれぞれの席に着きました。
教室に来た担当教師は、まずいつも空席だったAの席が埋まっている事をチラリと確認すると、少し驚いていた様子でしたが・・・
何事もなかったかのようにホームルームを始めました。
そしてすぐに始業式があったので、廊下に並んで体育館で式に参加しました。
式が終わり、みんなで教室に戻るとき、担任教師がこっそり私とAを呼びました。
私達は体育館の片隅で、先生と話をしました。