有罪モラトリアム

私達の姿をみて、Sは泣きながら言いました。

「おはよう。」

びっくりしてしまいました。

そしてメンバーの人たちが次々と私とSに言いました。

「今までごめんなさい。」

「ごめんね。知らなかったの。」

「ごめんなさい・・・。」

「Sから話を聞いたよ。本当にごめんね。」

あまりの態度の豹変ぶりに、ただただ驚くことしかできません。

私とAは無言のまま、その場に立ちつくし、目を丸くさせて、

Sとメンバーをじっとみつめていました。

私「もう何もしない?」

やっと口を開くことができました。

S「しないよ。みんなもしないって。」

メンバー「Sは他のクラスの子にも本当のことを言ったよ。」


私はAの方を見て、「良かった。」と呟きました。

Aは呆然としていて、「うん。」とだけ答えました。

そうしているうちにチャイムが鳴って、Aと私はそれぞれの席に着きました。

教室に来た担当教師は、まずいつも空席だったAの席が埋まっている事をチラリと確認すると、少し驚いていた様子でしたが・・・
何事もなかったかのようにホームルームを始めました。

そしてすぐに始業式があったので、廊下に並んで体育館で式に参加しました。
式が終わり、みんなで教室に戻るとき、担任教師がこっそり私とAを呼びました。

私達は体育館の片隅で、先生と話をしました。
< 179 / 287 >

この作品をシェア

pagetop