有罪モラトリアム

こうして、私とAは元の学校生活を取り戻しました。
Sは一部の人に非難され、時々暴言をはかれている場面をみたこともあります。
可愛そうだな、と思いましたが、私だってそこまでお人よしなわけでもなく、彼女を助ける事はしませんでした。
Sはメンバーの人たちと相変わらず一緒にいて、私達とも時々話をするようになっていきました。

でも私とSとAの間にはなんとも言えない空気があって、
すべて元通り、なんてうまい事にはいかなかったけど。

Aは必死で勉強をして、元の成績・・・いや、それ以上に成績が良くなって、
私はそんな彼女の姿をみて見習わなくちゃ、と思っていました。

だから勉強もAと一緒にがんばりました。
テスト週間になると、一緒に図書館に居残りしてたくさん勉強しました。
Aは人に説明などをするのが上手で、私は数学が大の苦手だったのですが、彼女に説明してもらうと難しい公式の意味も理解することができました。
逆に、Aは私が得意とする国語が苦手で、「この作品で筆者が言いたかったのはこういうことなんだよ。」と、丁寧に解説をしました。
お互いに、苦手部分を補って、その甲斐あってか2人の成績はぐんぐん上がっていきました。

私はそれまでゲームや部活にかまけて、あまり真剣に勉強に取り組んでいなかったので、今回の事は自分にとってもすごくプラスになったと思います。
部活もこの頃になると、事実上2年生はもう引退に近い形になっていました。
部活動に割いていた時間も自由に使えます。
マネージャーももうすぐ引退するつもりでいました。
真面目に将来の事を考えるようになっていきました。
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