有罪モラトリアム
すると先生はAと一緒にユキも特進に行かないか、と言いました。
そうすれば道が狭まる事はないだろう、と言いました。
たぶん先生は、私とAが一緒にいるといい影響をお互いに与え合っていたのを知っていたのかもしれません。
私は返答につまりました。
そこまで成績は良くなかったし、周りの人がみんな頭の良い人ばかりだったら、自分は浮いてしまうんじゃないか。
それに特進は数学III・Cも授業内容に含まれていて、
夏休みなども超厳しい補習が目白押し、だと聞いていました。
数学は大の苦手です。
夏休みがほとんどなくなってしまうのもすごく嫌なことでした。
おまけに特進コースは男子生徒がほとんどだって聞いています。
新しいクラスになるんだから、新しい女の子の友達も欲しかったのです。
受験生だということはわかっているのですが・・・
真っ先に頭に浮かんだのは彼の事。
夏休みまで会えなかったら、それこそ勉強に手がつかなくなるんじゃないだろうか。なんて。
ただの言い訳ですけど・・・私にとってはとても大切なことでした。
私「第一希望は理系でお願いします。
Aとはクラスが離れても友達の縁が切れる事はないと思います。」
先生「そうか、わかった。」
こうして、私は3年生になるとAとクラスが離れ離れになってしまいました。
でもAとの交友は続いていました。
新しいクラスになって、新しい女の子の友達もできました。
お昼休みになるとAも私のクラスにやってきて、みんな一緒にお昼を食べました。
楽しかったです。
恋も、勉強も、友達も、
なにもかもが全てうまくいっていると思いました。