有罪モラトリアム
T「ってか、よかったら付き合って欲しいんだけど。」
と、更に衝撃の発言を・・・!!
もうパニックです。わけがわかりません。
私なんかの何が良くて付き合いたいなんて言っているのか・・・。
というか、そもそもSちゃんの好きな人だし・・・。
私「えっと・・・あの・・・・。」
しどろもどろです。
とにかく、頭の中はパニックでした。
というか、顔が真っ赤になっててそのことがすごく恥ずかしかった記憶があります…。
T「急にこんなこと言ってごめんな。でもユキの事ずっと前からいいなって思ってて。返事はまた今度聞かせてもらえる?」
そういって、T君はものすごいスピードでチャリを全漕ぎして行ってしまいました。
しばらくボーゼンとその場に立ち竦む私…。
中学生の頃は勉強ばっかりで、好きな人ができても遠くからみているだけでした。
生まれて初めて告白されちゃったのです。
T君みたいなカッコイイ人が私なんかのことを?!
T君は、私がボールを片付けしている時さりげなく手伝ってくれたり、
遠くに飛んで行ってしまったボールを手渡すと「さんきゅ」って必ず言ってくれていました。
仲間が怪我しちゃったときも、一番に駆け寄って保健室までかかえていくのもT君でした。
何気ないことだけど、優しい人なんだなぁ。と思っていました。
Sちゃんが好きになるのも頷けました。
今思えば、私も少し惹かれていたのかもしれません。
でも、大事な友達の事を裏切るなんて考えるだけで憂鬱でした。
断るべきなんだ・・・どうやって断ればいいんだろう・・・
頭をぐるぐるぐるぐるさせながら、その日は夕飯もあまり食べれなくって、なかなか寝付けなくって、
答えの出せないまま、次の日がやってくるのでした・・・。