有罪モラトリアム
私は驚きつつも、内心ドキドキしていました。


こんなこと、初めてのことだったし、


夜中にこっそり男の人と逢うなんて。


ちょっとした後ろめたさと


それに伴うドキドキ感と、


彼に逢える、逢いに来てくれるという嬉しさでいっぱい…。


私は彼からもらった箱のリボンを解いて


白いワンピースを着ました。


鏡を見ると、白にルビーの赤が映えて、


私を少しだけ大人っぽく見せてくれているような…
そんな気がしました。


でもさすがに寒くて、このまま外に出るのは無謀だと感じ、


タンスからストールを取り出し肩にかけ、
少し薄めのタイツを履いて、
黒のロングコートを着ていくことにしました。


ルビーに似合うように、少し赤みが強いピンクのグロスをつけて…
そうやって丁寧に化粧しているときにふと思いました。


でも、逢うって…どこで逢うんだろ?


車の中で少しお話できるだけかな…。


キス、してくれるかな…。


まだお風呂からあがったばかりの体が更に火照ってしまいます。


こっそり外に出て、親にバレないかな?


23時過ぎ、1階にそーっと忍び足で様子を見に行きましたが、
両親は既に寝ていました。


ほっと胸を撫で下ろしながら自分の部屋に戻り、彼からの電話を待っていました。
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