有罪モラトリアム

恥ずかしい気持ち、我慢しなくちゃ。
いつも彼に合わせてもらってばっかりで…。
こんなんじゃ、だめだ。

本当は嬉しいって思ってるくせに。



車のガラスはすっかり曇って、外は何も見えません。
きっと外からも何も見えない…。

公園の外灯のうっすらとした光に車内は包まれていました。




俯く彼に私は言いました。



「あの・・・胸だけなら・・・。」



その言葉を言った瞬間、もうものすごく恥ずかしくなってしまって、
私は手で顔を覆いました。




彼は私の手をそっと退けると、
またキスをしてくれました。






「ユキ…。」



あ。

ユキって呼んでくれた…。



キスの合間に彼は言いました。



「ユキって呼んでもいい?」



「う、うん・・・。」



「カナタって呼んでください…。」



「カナタ…。」








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