有罪モラトリアム
「大丈夫?」
「は、はい…。」
彼はそっとストールを胸にかけてくれました。
「寒くない?」
「あついです・・・。」
「ぼくも・・・。」
私たちは体をくっつけたまま、
しばらくずっと抱き合っていました。
少し体が動かせるようになると、
私は彼の胸に顔をひっつけて、
顔が見えないのをいいことに、大胆発言。
「カナタ、だいすき。」
「ユキ・・・愛してます。」
愛してます。
その言葉を聞いた瞬間、
涙が急にあふれて
彼の体を抱きしめました。
「17歳、おめでとう。」
そう言って、また唇を重ねました。
長くて、恥ずかしくて、甘い夜の記憶。
私は少しだけ、
女としての喜びを知りました。