有罪モラトリアム

「え・・・?」


「部屋連れてって・・・。」


明らかに動揺した彼の顔。


「酔ってるんですね…。」


「だって帰りたくないんだもん。」


「泊めるのはいいけど、僕は車で寝ますよ。」


「なんで・・・?」


「なんでって・・・。」


「怒ってるんだ。」


「違いますよ。
僕も酔ってるし、こんな状態で抱きたくありません。」



あ・・・。

私なに言ってるの・・・?

これじゃ抱いてって言ってるようなものじゃない。

そんな勇気ないくせに。

急に恥ずかしくなって顔がカァーっと赤くなりました。



「ご、ごめんなさいっ・・・。帰ります。」


「帰らなくていいですよ。」


「だって。今のは・・・違うんです。えっと。」


「その代わり、消毒だけはさせてもらいますから。」


「え!!!」


「ちゃんと家には電話してくださいね。」


「あ、あの・・・。」


「もう取り消しは受け付けません。」


自分で言い出したくせに。
かなり、うろたえてしまいました。
なんて大胆なこと言っちゃったんだろう?!
どうかしてるよ・・・私・・・。
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