有罪モラトリアム
彼はキスして言いました。
「抱いていいですか…?」
初めての時って、ものすごく痛いとか、
血が出ちゃうとか、
もちろん、知っていました。
でも求めてくれることが嬉しくて、
体は火照り切っていて、
好きだから断る理由もありません。
あとは、怖いと思っている気持ちをなんとかするだけ。
彼のために我慢できるか、どうか…。
「あの…初めてなんです。」
「わかってます。」
「だから…初めての人はカナタがいいなって。」
「本当に僕でいいんですか?」
「はい…。」
「かわいい…。」
その後のことは、本当に記憶が曖昧です。
途中ものすごい激痛があって、
そこから意識を少し失いました。
頭の中が真っ白になって、よく覚えていません。
時々名前を呼んでくれたり、
「愛してる」と言ってくれたり、
途切れ途切れに覚えています。