有罪モラトリアム
次の日の事・・・
いつものように目覚ましで目覚め、なんとなく重い足取りで学校へ行きました。
T君に対する自分の正直な気持ちは、付き合ってみたいなぁというのが本音でした。
とりあえず、Sちゃんに昨日の事を正直に話して、彼女の反応をみてからT君に返事しよう!
これが私の答えでした。

その日のお昼、いつもは6人グループでお弁当を食べていましたが、Sちゃんに「ちょっと相談したいことがあるんだけど…。」と言い、2人で中庭で食べる事にしました。
6月の少し暑い日でした。
木陰に2人で並んで座って、最初はどうでもいい話ばかりしていました。

「相談って何・・・?」
やはり気になっていたようです。

「あのね、驚かないで聞いてほしいんだけど。昨日Sと校門で別れた後ね、T君が私の事をチャリで追っかけてきたの。急に一緒に帰らない?って。」

「ユキと??」

「うん…。」

「一緒に帰ったの?」

「ううん。そのまま答えに困って黙ってたら、付き合って欲しいって急に言われて…。」

Sちゃんの顔が一瞬で凍りつきました。
そのままうつむいて、何も言ってくれなくなりました・・・。

「Sはどう思う…?」

「どうってどういうこと?」

「えと、T君と私が付き合うことには反対だよね…?」

「私言ったよね?T君が好きって!そのためにマネージャーだってやってるんだよ?賛成するとでも思ってるの?それともユキはT君のことが好きだったの?」
怒った口調で一気にまくしたてられ、言葉を失いました。

「そう…だよね。反対だよね。私は別にT君のこと特別に好きってわけじゃなかったよ。」

「あんた、T君になんかアピールとかしてたわけ?」

「え…?アピールって…。」

「そういえば、一緒にボール片付けたりとか、練習終わった後2人で話してることなか
ったっけ?」

「それは、T君が手伝ってくれたり、話しかけてきたから…。」

「あっそう。で、あんたはT君と付き合いたいと思ってるんでしょ?」

「私は…正直に言うと、迷ってるの。」

「迷ってる…そう…。」
Sちゃんは急に立ち上がり、私のことを睨み付け
「この、ウラギリモノ。」
と、一言言い残しどこかへ立ち去っていきました。
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