有罪モラトリアム
10分ほど待っていたころでしょうか。
まだ約束の時間まで20分はあるはずなのに、
駅の方向から彼が歩いてこっちへ向かってくるのに気づきました。
私の姿に気づいた彼は駆け寄ってきてくれました。
彼「ごめん。待ちましたか?」
私「いえ。さっき来たところです。」
どこかで聞いたようなセリフです。
久々にみた彼は、やっぱりかっこよく見えて
なんだかドキドキしてしまいます。
彼「じゃあ、行きましょうか。」
私「どこに行くんですか?」
彼「ユキさん、水族館は好きですか?」
私「大好きです!」
彼「だと思いましたw
少し電車に乗るんですけど、大きな水族館があるので行ってみようかと思いまして。
イルカショーもやってるみたいです。」
私「イルカショー!!」
思わず大きな声で喜んでしまいます。
水族館は大好きです。
そんな私をみて、彼はニッコリと笑いました。
私「カメラ持ってきちゃいましたw
あとで一緒に撮ってもらっていいですか・・・?」
彼「僕も持ってきちゃいましたw」
2人で顔を合わせて笑います。
なんだかちょっとしたことが、大げさにうれしく感じられて、
いつもよりニコニコしてしまいます。
きっと浮かれているってこういうことを言うのでしょう。
いっぱい写真撮るんだ。
会えない時間は、きっと思い出が必要になると思うから。
私と彼の住んでいるところは、
遠距離・・・とまではいかなくても、
会うのに数時間はかかってしまいます。
中距離恋愛、といったところでしょうか。
学生のお小遣いじゃ、そう頻繁に会うことはできない距離です。
彼と並んで歩きます。
まだ緊張するけど今度はちゃんと、隣を歩きます。
頭一個分は身長が違うので、少し見上げて話をします。