有罪モラトリアム
「で、ユキはT君のことはどうするの?」

「正直に言うとね、昨日帰り道にT君と話して、
私もT君のこと気になってたんだけど、本当は付き合いたいんだけどね、Sのこと考えて断ったんだよ。
そしたら、T君はSの気持ちに気づいてたみたいで、それのせいで断るの?って。
だったらSには内緒で付き合おうって。」

「そっか。まぁ私は付き合ってもいいと思うけど、Sはねぇ・・・、なんか完璧に壊れちゃってる感じだったよ。」

「私どうしたらいいんだろう。」

「うーん。他の4人にもとりあえず本当のこと話したほうがいいかもしれない。完璧に誤解しちゃってるから。」

「うん・・・。話したい。Sとも。」

その日のお昼、Aの計らいでみんなと一緒にお昼を食べる事になりました。なんとなく重苦しい雰囲気でした。
教室は気まずいから、生徒会室を使うことにしました。
Aは生徒会のメンバーなので、出入り自由だったのです。

Sは私と目を合わせようともしませんでした。
Aがその場を取り仕切ってくれました。

A「ユキがね、みんなに話したい事があるって。」

S「今更何を言い訳するつもりなの?」

かなり、棘のあるいい方でした。

私「S・・・みんなに、私がT君のことたぶらかしたとか、告白したとか、Sのこと見下して笑ってるとか、そんなこといったのって本当なの・・・?」

S「本当の事もなにも、実際あったことじゃないの。」

私「なに・・・言ってるの・・・?」

S「Aはユキに何言われたのか知らないけど、こんなやつ庇わないほうがいいよ。」

A「じゃあSは、ユキの言ってる事の方がウソだっていうこと?T君に聞いたら本当のことわかるんじゃないの?」

S「だからそうなんだってば。T君なんてユウのこと庇うに決まってるんだからウソつくって。」

S「こんな女の言うことなんて聞く必要ナシ!!はやく教室戻ろう。」
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