細い女の子なんて大っ嫌い‼
「ふざけんな…!」


っ…?!


パシン、と乾いた音とともに痛みも感じる。
頬っぺたに。


…叩かれた。


信じられない。
実際に叩かれたことなんて
父親からだけ。
しかも1度だけ。


同級生から叩かれるなんて
夢にも思わなかった…。


「何してくれんの…!」


空手の技をかけようと、
姿勢を正した時…。


「ちょっ…お前、やめろよ!」


両手を掴まれた。
温かくてあたしの手より少し大きな手。


思わずドキドキするような低い声で
耳元で囁かれたから…。


あたしの心臓はドッキンっと跳ねあがった。


「誰…。」


あれ…?
この人…。


昨日見た───
ニックネーム is ...


不細工影薄男…?


それ、最悪。


だけど…ヒカルさんに叩かれた怒りは
すっと消えていて…。


あたしは単純に、素直に、
不思議だなって思った。
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