細い女の子なんて大っ嫌い‼
それにしても岡本君って…さ。


「岡本君て…誰、それ…?
 帆波ちゃん、
 テレビドラマの見す…。」


「あの、聞いてますか?」


気付けばイケメン男子が前に立っていた。


さっきまでいなかったよな…。
ってことは。


この人、超足早いんじゃないのか、と
あたしは少し尊敬の目で見ながら
質問した。


「誰?」


「誰って…。」


彼は呆れたように、だけど
少し目を潤ませながら
喋り続ける。


「噂は本当だった…!
 名前覚えるの苦手ってよく言われる形本…!
 …まるで光平氏に出てくる桐壺帝子だ…!」


うっとりとした感じで喋り出す彼に
引いたのはきっと…気のせい。


「…初めて聞いた。
 あたし、名前覚えるの苦手な形本って
 覚えられてんの?」


あたしは、信じらんない、と
頭を抱えた。


どんな印象受けてんだよ!
あたし、歴史は出来るのに…!


「って…
 光平氏の桐壺帝子とか何とか言った?」


「そうだよ。
 光平氏って僕が作ったんだ。
 それで桐壺帝子は人の名前を
 覚えるのが苦手だってことに
 なってるんだ。
 まるで君だね。
 因みに僕は光平氏なんだ。」
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