【完】ペテン師との甘い夜
彼はその薔薇を、私の来ていたブラウスのポケットに入れる。



「そんなに物欲しげな瞳をしないの!」



「別に、してないわ。つか、貴方が邪魔さえしなければ、満たされてたかもね。」



私が彼に言い返すと彼は更に艶めいた微笑みを向けた。



月光が彼を妖艶かつ、美しく照らす。



「じゃあ、キスだけで君を満足させてあげる…。」



彼の色香漂う声と共に甘く熱い唇が降ってきた。



それはどんなお酒よりも、甘い甘い口づけ。
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