【完】ペテン師との甘い夜
周りは私を妬む。



別に好きでこの顔、この体になった訳じゃない。



なのに…



私は今日に限って疼く左脇腹を摩った。



左脇腹を摩りながら、カーテンを開く。



外は雨模様。



私が、私が刺された日も



確かこんな雨模様だった。



「はあ…やる気が出ない。」



溜息をついた。



冷たい窓が私の息で白く曇った。



「…仕事行こ。」



私は少し痛みを感じる脇腹を抑えたまま、そっと家を出た。
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