【完】ペテン師との甘い夜
「で?わざわざアポまで取るほどの話って何だ?」



国見社長は頬杖をついて私に尋ねる。



目を細めて笑っている顔は柔らかく、彼の優しく爽やかな雰囲気に似合う表情だ。



私はそんな彼の髪の毛に視線を移動させ、一言、こう言った。



「国見社長、白髪生えてる。」



国見社長は柔らかい表情から少し目を見開く。



「すまないが、取ってくれ。」



「はい。」



私は自ら頭を差し出した国見社長の頭上を見て、唇の左端を上げた。
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