【完】ペテン師との甘い夜
車内には朱美ちゃんの低く、何かの楽器みたいな声のみ響く。



「はっ!?それ…そう。分かったわ。」



電話を切ると焦点の合わない瞳が私に向く。



「何、だったの?」



恐る恐る尋ねると



「私、全てが繋がっちゃった。後は、鑑定の結果が予想通りだったら…。」



と、譫言のような返事が返ってくる。



「私にも教えてよ。」



「真実は本人達に聞きましょう。私の予想だって憶測でしかないもの。」



そうは言っているが、朱美ちゃんの瞳は確実を持った強い瞳だった。
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