【完】ペテン師との甘い夜
脳髄まで痺れるキス。



なにもかもを忘れて、貴方に、支配されたいと思ってしまう。



求めるように仰いだ左手に、セキがそっと右手の指を絡めた。



「セキ、貴方を私に刻んで…。」



君が何処かに消えてしまわないように。



私の心に、体に……。



「伊織…オレは何処にも行かないよ。ここにいるよ。」



セキは声で、体で、体温で、私に存在を示した。



甘く、熱く、激流のように、君が流れてくるよ、セキ。
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