【完】ペテン師との甘い夜
愛しているからこそ…
全ての話を聞いて、私も朱美ちゃんも絶句していた。
あまりにもスケールの大きい話に頭が着いて行かない。
そんな状況だった。
「…何で、何で今更過去を私達に知られようなんて思ったのよ?」
朱美ちゃんはなおも余裕の笑みを浮かべるセキに、渇いて掠れた声で尋ねた。
「それは、オレが許されるはずのない愛を知ってしまったから。」
その返答は雰囲気に合わない凛とした声だった。
「君にはオレを裁いてほしい。」
セキの真っ直ぐな瞳の先には、私が映っていた。