【完】ペテン師との甘い夜
「そうだね。」



振り返るセキには、月光が降り注ぎ、彼を何時もより、ずっとずっと妖艶に魅せた。



あまりにも美しい彼に、息を呑み言葉を出せない。



きっとセキは私の気持ちさえも分かってるんだ。



そう思えるような笑顔。



青の瞳は、妖艶に飾る宝石。



そんな風に思えるんだ。



「伊織、こっちにおいで。」



私の体を導くセキの左手。



すっと抱き寄せられれば甘い香りが漂う。



…もう私の体は、意識はセキに支配された。
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