【完】ペテン師との甘い夜
痛みに歪みながらも微笑み続けるセキ。
私を抱きしめる腕が段々弱まるのが分かった。
「セキ…ぅうぁっあぁぁぁ!!」
私の金切り声は夜空を裂くように響いた。
「澤木ぃぃ!!」
向こうの道から私を呼ぶ声。
「しゃ…ちょおっ」
力が抜けて、それでもセキを抱きしめる力を緩めない私を、社長は男の人の力で無理矢理抱き上げた。
「社長っセキ…セキ。」
「六道がなんとかするから。行くぞ。」
ズルズル引っ張られて歩く。
私は譫言のようにセキの名前を呼んだ。