【完】ペテン師との甘い夜
静かにゆっくりと時は流れ、三年という月日を作り上げた。



それでも、セキに支配されたあの色濃く短い時間には敵わない。



私の時間は、きっとあの時のままなんだろう。



店も賑わいはじめ、レンジ以外のバーテンも二人入り、私は裏で売上の計算をしていた。



「オーナーあんたに客。」



この店では一番上のバーテンのミキトが私を呼ぶ。



私に客…?



一体、誰だろうか。



私は警戒しつつもカウンターに顔を出した。
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