【完】ペテン師との甘い夜
「ははっ…じゃあ、俺が三年前に頑張った甲斐があったかも。」



「え…?」



言葉の意味が分からず私は朱也の顔を見つめる。



「アイツには、一回命救ってもらったからね。まぁ、今でもスッゴク気に食わないけど?」



私の頭を優しくぽんぽんと撫でた朱也は立ち上がりお尻の砂を掃った。



「伊織チャンは動いたらダメだからね。じゃねっ」



それだけ笑顔で言い残し夜の闇に消える朱也の背中。



「なんなのよ…?」



一人残され意味が分からず私も立ち上がった。
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