【完】ペテン師との甘い夜
セキは曲を弾き終わると、女性にバトンタッチしてピアノの台から離れた。



セキと一瞬瞳が合う。



彼はあの日みたいな妖艶な笑顔を向けた。



そして、ゆっくりこっちにやって来る。



一瞬のようで、まるで永遠に支配されたかのような時間が流れる。



「やぁ、伊織!来ると思ったよ。」



「君は一体誰だ?」



水嶋部長が少し不機嫌そうに言った。



「今、伊織と話してんの。わかんないかな〜?」



セキは余裕の笑顔で水嶋部長に詰め寄る。
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