【完】ペテン師との甘い夜
アイツが消えた後、私はふと伊織チャンを向く。



何だかうっとりした瞳。



はぁ…。



「ねえ、伊織チャン。」



「なぁに?」



こんな"女"の顔した伊織チャン初めて見たわ…。



一瞬"朱也"が目覚めそうだったけどそれはなんとか抑えた。



っていうか、伊織チャンごときに欲情するなんて、なんかムカつくし。



「何で、アイツなのよ?」



私は溜息混じりに言う。



伊織チャンは私の質問に煙草の煙を噴き出し



「分からない。」



と、目を細めた。
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