【完】ペテン師との甘い夜
「澤木、俺に聞きたいことがあるだろう?」



国見社長がニヤリと微笑む。



爽やかな外見だと思っていたあの国見社長の顔が完全に怪しく艶めきを帯びた。



「その顔…私の知っているセキの顔。」



私はぽつりと呟いた。



「…悪いが、あいつと俺の関係は言えないな。」



国見社長は煙草を取り出して火を点ける。



「俺から質問していいか?」



煙草の煙をふぅっと吐き出し、私を黒い瞳が捕らえた。
< 63 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop