【完】ペテン師との甘い夜
「そうか…あの男が人間に興味を持つとはな。」



国見社長は考え込む。



私はそんな国見社長に



「何故貴方と彼は、同じ名前なのでしょう?」



と、無意識に聞いていた。



国見社長は少し考えて、煙草の煙を再び噴き出す。



そして、私をその黒い瞳で見つめて、うっすら笑みを浮かべながら答えた。



「俺が言えることといえば…あの男も俺も"セキ"であって"セキ"じゃない、ってことだけだ。」



艶めきを帯びたその表情は、私をまた謎の迷宮へ引き込んでいく。
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