【完】ペテン師との甘い夜
「うちの社長と貴方って、知り合いなのね?」



「ん〜?まぁね。」



心の読み取れない笑顔。



「社長と貴方は同じ名前なのね。偶然にも。」



私の揺さ振りにも全く動じない。



私は更に揺さ振りを掛けた。



「言ってたわ、社長が。社長も貴方も"セキ"であって"セキ"じゃないってね。」



私が言うと、セキはさっきにも増して艶めいた笑顔を向けた。



「そうだよ!オレも彼も、セキであってセキじゃない。」



その笑顔は全くの影もなかった。



ただ怪しい光を帯びていた。
< 71 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop