ある雨上がりの日に。
会議が無事終わり、ほっとした奈緒子は、一息つこうと駅前のカフェに寄った。


そしてコーヒーを一杯頼むと読み掛けの恋愛小説を開いた。



男の人もこんなの読むんだな。

[女性に大人気!]と書いてある小説の帯を眺めながら奈緒子は思った。



奈緒子が今抱えているプロジェクトは「愛」がテーマのものだった。


「相手の気持ちを即座に探り出す―――」

それが新開発製品の目的であり、目標であった。



奈緒子はもう一度小説に目を移し、山田がこの本を読むのも無理はないな、と思った。





コーヒーカップの底が見えた頃、奈緒子は本を閉じ店を出た。


「今日も綺麗な星が出てるな。」


そうつぶやいて、帰路をたどった。







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