ある雨上がりの日に。
「おはようございます」


お愛想程度のあいさつを数回交わし、デスクにつくと、

奈緒子はすぐさま資料作りにとりかかった。



数十回に渡る会議の結果生まれた製品は、とても優れたものだった。

最も、その製品の情報は会議に参加している社員以外には極秘だったのだが―――。

交渉の時間まであと1時間弱。



カチャカチャとキーボードを叩く音がよく聞こえた。
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