ユキの奇跡
何を話せばいいの?
「どうしたの?高木さん」
焦っている私を不思議そうに覗き込む結城君。
「え?あ、いや、そ、そのお弁当…、すごいね」
「あ、これ?実は手作りなんだよね~」
「え 手作り…?すごいっ、結城君、料理…出来るんだ」
「うち兄弟が多くてさ、母ちゃん忙しいし、だからよく自分で作ったりしてんだ」
「へぇ、すごい…えらいね」
「ま、別にそんなたいしたことじゃないよ」
照れて笑う姿が少し、かわいかった。
「そういや高木さん、いつもパンだね?」
「この…パン好きなんだ」
「へぇ、美味しいの?」
「うん。思わず、毎日食べちゃう」
「すごく好きなんだね」
「うん…!」
私は返事をしながら、嬉しい気持ちで飛び上がりたくなっていた。
結城君の笑顔は、私にも笑顔をくれた。