身代わり~婚約者は高校生~
「はじめまして、娘の美咲と申します。両親がいつもお世話になっております」


そう挨拶すると止まっていた時間が再び流れ出す。


もちろん、両親が何の世話になっているかなんてわからないから社交辞令だ。


「はじめまして、息子の要です」


若い男性の声に聞かれてそちら側を見れば、姉の見合い相手らしき人物がいる。


今は、父親の会社を一社任されて経営に携わっていると聞く。


いずれ、早瀬グループの頂点に立つ人物だ。


あの驚き方からすればきっとこの結婚話はなかったことになる。


話を持ってきた先方から断るのだから、少なくとも融資の心配いらなくなる。
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