身代わり~婚約者は高校生~
「学校の噂になってるんですが、何かしましたか?」


迎えにきた要に聞く。


「いいえ、加奈子には口止めしておいたんですけれども」


楽しそうに言う要の言葉が気に障る。


「なんて?」


「『結婚の承諾をまだ貰っていないから、誰にも話してはダメだよ。もし噂が流れたら彼女が断りにくくなるだろ』って言いただけですよ」


「噂を流せば、断れなくなるから、噂を流しなさい。」って聞こえるのは私だけだろうか。


「最低ですね」


「は?」


思ってもみなかった私の言葉にアクセルを踏む足の力をこめる。
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