身代わり~婚約者は高校生~
こんな時間に来客となれば、目的は1つしかない。


玄関を開ければ案の定、姉の身支度のために呼んだ。


着付け係やヘアメイクさんなど5、6人が押し寄せる。


玄関先で姉の失踪を告げるわけにはいかず、とりあえず中に入ってもらう。


「ご、ご苦労様です」


すっかり忘れていた母に構わずリビングを占拠する。


「おはようございます。本日のお客様はこちらのお嬢様でよろしいでしょうか?」


「ち・・・・」


「はい、そうです」


いつの間にか戻ってきた父に「ちがいます」という私の声は遮られる。
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