身代わり~婚約者は高校生~
「ごめん。美咲。私には娘が2人いたことをすっかり忘れていたよ」


「・・・・ひどい」


私の「ひどい」という発言は当然忘れていたことにではなく、これから父の口から発せられるであろう言葉に向けられたものである。


「見合いの話は別に沙希に限定したものではなかったんだ。先方は『お宅の娘さんを』とおっしゃっていたのだから、美咲でもよかったわけだ」


「いや、よくないと思うよ」


そんな私の発言は完全に無視される。


「そうね。別にお見合いなんだから断ってもいいのよ」


とりあえず、今日だけ乗り越えようとする母も加わる。


断ってもいいなら姉は逃げなかったと思う。
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