身代わり~婚約者は高校生~
「はい、息を吐いて」


「はぁ~」


思いっきり肺から息を吐き出す。


その瞬間に帯が閉められ、残ったのは息苦しさ。


成人式は振袖は止めようと心に決めた瞬間だった。


苦しい。


小一時間ほど私の身支度にかかる。


下手なウォーキングなんかよりダイエットになりそうだ。


ぐったりする私をよそに出来栄えを見た父と母が感嘆する。


「きれいよ。美咲ちゃん」


「あ、ありがとう」


母の言葉に素直に礼を言う。
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