我妻教育
たこ焼きケーキ・・・。

食事なのか、甘味なのか。
確かに琴湖の言う通りだ。


「本当に、どんなメニューなのか、未礼さんから聞いていませんでしたの?」

「ああ」


当日のお楽しみ♪と言って、模擬店のメニューは教えてもらっていなかったのだ。

カレー屋は、採用されなかった、とだけは聞いていたのだが。



購入する列に並ぶ前に、たこ焼きケーキとやらを買っていく客の手元を観察した。


一般的な、たこ焼きの屋台で売られているような、発泡スチロールの平たい容器に、たこ焼きのような茶色の丸いものが乗っている。
ソースもかかっている。


そう、見た目は、たこ焼きのようだ。


模擬店の中で、たこ焼きケーキを焼いている生徒を見ると、
屋台で見るような業務用サイズのたこ焼き器を使用し、手にはキリを持ち、ひっくり返しつつ焼いている。
見た目はそのまま、たこ焼き屋だ。


たこ焼きを焼いている生徒の中に、九地梨の姿が見えた。



ゆっくりと店に近づいていくと、そこら一帯に甘い香りが漂っている。



「啓志郎くん!琴湖ちゃん!ジャンくん!
来てくれたんだね!!いらっしゃい!!!」


売り子用のハッピ姿の未礼が我々に気づき、駆けよってきた。

手には、【たこ焼きケーキ☆3年7組】と書かれた、段ボールで作った勧誘用の案内板を持っている。


「みんな、何かご飯系のもの食べた?」

未礼は、我々を見ながら問う。


「いや、一番にここへ来たのだ」

「甘いよ~コレ」

「・・・だろうな。で、コレは一体何なのだ」

「うふふ~☆食べてからのお楽しみだよ♪♪」

未礼は、いたずらっ子のように笑った。



「とにかくコレは、スイーツなんだね!じゃあ、ボク、先に焼きソバが食べたいな!
あとでこのケーキだ!」

「でしたら、私は、このタコスのお店に行ってみたいわ」

ジャンに続いて、琴湖がパンフレットを見て言った。


「そうだな。先に他を回ってくるか」

私も同意した。


「啓さまは何を召し上がりたいですか?」


「この、たこ焼きケーキを見ていたら、本物のたこ焼きが食べたくなったな」

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