我妻教育
「確かに、ケイシローのほうが、しっかりしてるように見えるね!
でもミレイ嬢、とってもキュートじゃないか☆☆ケイシローはラッキーだよ!」

ジャンが小走りで私の横に並んだ。


「可愛らしい方ではありますけれど、はたして彼女が松園寺家に、ふさわしいかどうかは疑問ですけれど」

琴湖は、口元をパンフレットで隠しつつ、涼しげな流し目で言い、

「少し言いすぎましたわね。どうか聞き流してくださいな」

すぐに視線を進行方向へ戻した。



「…いや。構わぬ。私も常日頃から自問自答しておるのだから」


私に、ふさわしいか、ふさわしくないか。

いまだ答えは定まらない。


ふさわしいとは言えぬ。
しかしながら、悪い女ではないのだ。


堂々巡りで、どちらにしても、どうにも決定打がない。



「2人とも!今日は、エンジョイしに来たんだ!難しい話なんてナンセンス!!」


「そうですわね。楽しみましょう。久しぶりですものね。休日に啓さまと外出するのは」


「ああ、そうだな」


先導をきってジャンが駆け出した。


「おい、梅乃木!どこへ行くのだ。そちらを曲がると裏庭だ。何もないぞ」

「ジャンなんて、ほうっておきましょう、啓さま。
たこ焼きの模擬店は校内のようですわ。まいりましょう」

「琴湖は、タコスが良いのではなかったか?先に行こう。店はどこだ?」

「えー…っと、あちらのようです」


「おーい!!ケイシロー!コトコ!!ボクを置いて行かないでくれよ!!」




我々は校内を散策した。


たまには息抜きも必要だ。

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