我妻教育
吹き出しそうになっているジャンをよそに、琴湖はイチゴミルクを、私は抹茶あずきをいただいた。


「どう?おいしい??」

未礼は、若干の心配が見え隠れするもわくわくした顔で聞いてくる。

「ああ」
「ええ」

私と琴湖の返事がかぶった。


「よかったぁ〜」

「お前らほんと仲良しだよなァ」

喜ぶ未礼のうしろから、桧周がひょっこりと現れ、手に持っていたお茶の入った紙コップ三つをテーブルに置いた。


「仲良し?誰と誰がだ?」


「お前ら3人だよ。いっつも一緒じゃんか」


桧周は、私、琴湖、ジャンの順に視線を流した。


「そうさ!!ボクらは親友だからネ!」

すかさずジャンが答える。


「親友ではない。梅乃木ジャンは勝手についてきただけだ」

「そうよ。啓さまが誘ったのは私だけよ」


「おいおい、ひでェ言い方だな」

桧周は、苦々しい笑いを浮かべて、ジャンを気づかったが、

「いっつもそうやってイジわる言うんだから!でも、ケイシローもコトコもシャイだから親友だって言うのテレてるだけさ☆」

当のジャンは、気にも留めていないような返事をした。


「誰がシャイよ」

すぐさま琴湖が反論した。



確かに、近頃は、ジャンとも以前と比べると関係が近づいた、馴染んだような気はするのは事実だが。

世話にもなった。

だからと言って、まだ友人と認めたわけではない。

調子に乗られても困る。

私は、あえて明言は避けておいた。


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