我妻教育
2.後継者の絶命
「亀集院家の三男ですか・・・。あの家は子息が多いようですが、よりにもよって、三男ですか…」
竹林に囲まれた静寂な離れの茶室。
琴湖が、茶をたてている。
ときおり、ししおどしが響いて実に風流だ。
「ジャン、正座が辛いなら足をくずしていいのよ」
琴湖が、茶と菓子を差し出した。
「ほんと?!・・・っでも、正座が茶室のマナーなんだろ?!ボク、頑張るよ!!」
ジャンは茶碗を受けとると、ぐるぐると回転させた。
「まわしすぎよ」
「何回まわすものなんだい?というか、なぜ、まわすんだい?」
「茶碗の正面を避けるためよ。客(ジャン)に茶碗の正面が向いているから。
客は、正面を避けるように右回りで茶碗を2回まわして向きを変えて、正面をはずすの」
「なぜ正面から飲まないんだい?せっかく正面を向けて置いてくれてるっていうのに」
「茶碗の正面を避けることで、お茶を入れた亭主(私)に敬意を示すことになるの。
飲み終わったら、正面に戻すため、さっきとは逆に2回まわして戻すってわけ」
「ジャパニーズカルチャーは奥が深いなぁ~」
茶道に興味津々のジャンに、琴湖が作法を教えている。
横で、私もお茶をいただく。
「結構なお点前で」
「おそまつさまでございました。
うれしいですわ。啓さまがお茶を召し上がりたいだなんて、久しぶりですもの」
琴湖は、嬉しそうに微笑んだ。
久しぶりに、琴湖の茶が飲みたくなったのだ。
放課後、私とジャンは、琴湖の家に邪魔をした。
茶を楽しむのなら、やはり琴湖だ。
竹小路家は、華道の家元だが、茶道も一流である。
我が家にも本格的な茶室はあるが、竹小路家に招かれ、師範並の腕前のある琴湖が入れるとさらに格別である。
ゆったりと茶を楽しむと、心が落ちつく。
目の端で、慣れない正座に、もだえ苦しむジャンの姿が邪魔だったが、気がちるというほどではない。
一息ついたところで、琴湖は、話を振り出しに戻した。
「噂に聞くところによると、相当優秀な方らしいですわね。亀集院家の三男は。
確か、経営コンサルタントでしたっけ。東大卒で、さらに米国でMBAを取得したとか」
竹林に囲まれた静寂な離れの茶室。
琴湖が、茶をたてている。
ときおり、ししおどしが響いて実に風流だ。
「ジャン、正座が辛いなら足をくずしていいのよ」
琴湖が、茶と菓子を差し出した。
「ほんと?!・・・っでも、正座が茶室のマナーなんだろ?!ボク、頑張るよ!!」
ジャンは茶碗を受けとると、ぐるぐると回転させた。
「まわしすぎよ」
「何回まわすものなんだい?というか、なぜ、まわすんだい?」
「茶碗の正面を避けるためよ。客(ジャン)に茶碗の正面が向いているから。
客は、正面を避けるように右回りで茶碗を2回まわして向きを変えて、正面をはずすの」
「なぜ正面から飲まないんだい?せっかく正面を向けて置いてくれてるっていうのに」
「茶碗の正面を避けることで、お茶を入れた亭主(私)に敬意を示すことになるの。
飲み終わったら、正面に戻すため、さっきとは逆に2回まわして戻すってわけ」
「ジャパニーズカルチャーは奥が深いなぁ~」
茶道に興味津々のジャンに、琴湖が作法を教えている。
横で、私もお茶をいただく。
「結構なお点前で」
「おそまつさまでございました。
うれしいですわ。啓さまがお茶を召し上がりたいだなんて、久しぶりですもの」
琴湖は、嬉しそうに微笑んだ。
久しぶりに、琴湖の茶が飲みたくなったのだ。
放課後、私とジャンは、琴湖の家に邪魔をした。
茶を楽しむのなら、やはり琴湖だ。
竹小路家は、華道の家元だが、茶道も一流である。
我が家にも本格的な茶室はあるが、竹小路家に招かれ、師範並の腕前のある琴湖が入れるとさらに格別である。
ゆったりと茶を楽しむと、心が落ちつく。
目の端で、慣れない正座に、もだえ苦しむジャンの姿が邪魔だったが、気がちるというほどではない。
一息ついたところで、琴湖は、話を振り出しに戻した。
「噂に聞くところによると、相当優秀な方らしいですわね。亀集院家の三男は。
確か、経営コンサルタントでしたっけ。東大卒で、さらに米国でMBAを取得したとか」