我妻教育
食欲は無かったはずだったが、一口食べればスプーンが進み、完食した。



食事のあと、私はノートパソコンを開いた。

ためらいをはらんだ指先が、かすかに重く震える。



我社が賞賛し、協力しているならば、我社のホームページからリンクしているはずだ。

兄の立ち上げた、国際NGOの団体のホームページが。


松葉グループのホームページを開くと、我社が支援するNGO等のボランティア団体は、多数存在した。


世界100ヶ国以上に支部が存在する大きな団体から、学生サークルが主催している団体まで。

国内外問わず、支援内容も多種多様。




「グリーン☆マイム。これだよ」

未礼が、一つの団体を指さした。


【国際NGO グリーン☆マイム】


未礼に教えられたページを開くと、まず最初に、途上国の子どもたちが、井戸の周囲で、輪になり手をつないでいる写真が目に飛びこんできた。
子どもたちは皆、笑顔だ。


その写真の下に文字が書かれている。


“グリーン☆マイムは、世界中の子どもたちを笑顔にする活動をしています☆”

“ 活動内容
途上国支援
開発援助・緊急人道支援

井戸や住居の建設、子どもの保護と教育を活動の主としています☆

主な活動地

中近東
中南米
アフリカ ”



「ロゴか可愛いよね。美味しそうで♪」

と言って、未礼はグリーン☆マイムのロゴを指した。


グリーン☆マイムは、チョコレートのイラストがロゴマークになっているようだ。


長方形の板チョコを横長に置いたイラストだ。
包み紙をめくり、角が2口、かじられたあとがある。

チョコを包む紙に、“グリーン☆マイム”と団体名が、
まるでチョコの銘柄であるかのように描かれていた。




『・・・お前は、俺の命の恩人だ』

遠い、幼い記憶が脳裏をかすめた。




「啓志郎くん?どうかした?」

未礼が私の顔をのぞいた。


「・・・いや、なんでもない」

私は、ホームページを閲覧した。
ホームページには、途上国の子どもたちの写真がたくさん掲載されていた。


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